14年目の永遠の誓い


背筋にイヤな緊張が走った。

おじさんやおばさんが不在な日は多い。
だけど沙代さんは、住み込みだ。沙代さんが外泊するような日は、ハルは隣のじいちゃんちに泊まりに行く。

何かあったんだ。

ハルの身体のことを知ってる沙代さんが、何もなしにハルを一人にするなんて、あり得ない。
何かがあって沙代さんは出かけて、今、ハルは一人。

でもって、一人で何の問題もなければ、ハルが、こんな時間に電話をかけて来るなどありえない。



「ハル、オレ、今から行くから」

「カナ、でも……」



ハルは言い淀みつつも、ダメと言わない。
心細げな、とても不安そうな気持ちが、スマホ越しにひしひしと伝わってくる。



「ハル、玄関のドア開けられる?」



ハルんちはセキュリティもバッチリだ。
夜、一人でいるなら、今は、ロックを解除しなきゃ窓も開けられないはず。
動けないなら、じいちゃんたたき起こして……。



「開けに……行く」

「ムリするなよ? しんどかったら、オレ、じいちゃんちに行って鍵もらってくから……」

「大丈夫」

「すぐ行くから! 2分か3分、待ってて!」



言いながら、オレはもう走り出していた。



「電話、切らないで!」



スマホに向かってそう叫ぶと、通話のままに、画面表示だけ消した。

オレは通りがかりにノックもなしに、兄貴の部屋のドアを開けた。



「ハルんとこ、行ってくる!」



書き置きしていくのも、時間がもったいない。



「え? 叶太?」



こんな時間に何を……とか何とか、兄貴の声が背中越しに聞こえたが、当然、ムシして、オレは階段を駆け下りた。