14年目の永遠の誓い



6月上旬、金曜日の夜。

空梅雨の中、珍しく降った雨も夜には上がり、開けた窓からは、少し湿った涼しい風が時折吹き込んでいた。

オレは風呂も済ませて、後は寝るだけって格好で、ベッドに寝転がって、「年収300万からはじめる不動産投資」なる本を読んでいた。
勉強と違って目的がしっかりしているからか、初心者向けの本だからか、オレはいたって楽しい時間を過ごしていた。

そんな時、スマホがブルブル震えながら、オルゴール調の可愛い音楽を鳴らした。
ハルに割り当てた着メロだ。

夜11時過ぎ。こんな時間に?

だけど画面を確認しても、確かにハルからの着信だった。



「……ハル?」



普通なら、ハルはとっくに眠っている時間。
オレは慌ててスマホ取り上げると、通話ボタンを押した。



「ハル? どうした?」

「…………カナ」



スマホの向こうのハルの声があまりに弱々しかったから、オレは驚いてベッドの上に跳ね起きた。



「ハル、どうした!? 具合悪い?」



普段なら、調子の悪いときに、ハルはわざわざ電話なんてかけてこない。
何だかとてもイヤな予感がした。



「大丈夫? 呼び出しボタン、壊れたとか!?」



ナースコールさながら、ハルのベッドには、具合が悪くなったときに、おばさんや沙代さんを呼び出せるボタンが備え付けてある。



「壊れてないの」

「そっか」



ホッと息をついたが、ハルの元気のなさが、こんな時間の不意の電話が気になった。



「家に……誰も、……今、いなくて」

「え? 誰も!?」