だけど、一人残した最愛の妹のことが気にならないはずがない。
「なるほどね」
明兄は渋い顔をしたまま続けた。
「だが、それなら、お前が毎日、うちに来れば良いだろう」
「できる日はやってる。……けど、ハルが具合が悪くて休んでるような日はムリだし、うちの親も家で食べろって言うから、」
「……まあ、そうだろうな」
うちのお袋は専業主婦だし、親父は多忙だけど子煩悩で、家族で食事をとる時間も大切に思っている。
兄貴と仲が良い明兄も、それは知っているだろう。
「それにね、明兄、知ってる?」
知らないと分かっていて、オレは次の弾を撃つ。
「今度は何?」
明兄は不機嫌なままだけど、オレの話を聞く気はあるらしい。
そりゃそうか。ハルの話だもんな。
「ハル、夜中に具合が悪くなっても、誰にも言わず、朝まで我慢してる」
「………え?」
「オレも少し前に知ったばかりだけど」
「なんで!? ……って、聞くまでもないか」
「うん。起こしたくないんだろうね。おじさんおばさんも忙しい人だし。沙代さんだって、気にしないって分かってても、そんな時間は勤務時間外だ」
明兄は硬い表情で頷いた。
「夜中だし、命に別状がないからって言っても、ハル、すごくシンドそうで、」
「……待てよ。なんで、お前がそこまで知ってる?」
明兄の反応が怖いと思いながらも、ハルとの結婚に協力してもらうなら、ここは避けては通れない関所だ。
「明兄、6月に沙代さんのお母さんが亡くなったのって、聞いてる?」
オレは言葉を選びつつ、明兄に説明を始めた。
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