明兄の帰省はちょうどハルの退院日だった。
昼間、ハルの昼食に間に合うように帰省した明兄。
ハルはいつも通りにとても嬉しそうにしていた。明兄の久々の帰省って事で、夜は兄貴も合流して賑やかな夕飯。
そんな時間には、ハル仕様で優しい笑顔だった明兄が、今は腹黒丸出しの黒い笑顔でオレの前にいた。
夜10時半。
一度、夕食後に家に帰り、風呂を済ませてからの再来。
少し前に兄貴が帰って来たと思ったら、明兄から「今から来い」のメールが入った。
「えーーーーっと、よろしくお願いします」
取りあえず、ぺこりと頭を下げておく。
「ああ、よろしくな」
そのまま、2階の明兄の部屋に通される。
子どもの頃は2階にもよく上がったけど、明兄が大学生になって以来、足を踏み入れていない。
「うわー、久しぶり。……変わらないね」
「住んでないからな。ほとんどあの頃のままだろ」
明兄が笑う。
明兄が大学生になったのは、オレとハルが中学1年生の時。
オレが明兄の部屋に乱入していたのは小学6年生の時? やけに懐かしいはずだ。
「なんか飲む?」
「え? いいの?」
「ああ、1階の冷蔵庫に入ってる。オレは麦茶な」
当然のような言葉に、思わず吹き出す。
「りょうかーい。……あ、ハル、寝てるよね?」
明兄はそこで一瞬手を止め、
「やっぱり、オレが行ってくる。寝てるはずだけど、起きて来るとやっかいだろ」
と言った。



