「はい、お水」
リビングでソファに下ろされ、お水の入ったグラスを渡された。
……美味しい。
思えば、朝から何も飲んでいなかった気がする。
純白のドレスを汚すのも嫌だったし、緊張して、それどころではなかったと言うのもある。
わたしが水を飲み終わるのを待ち、カナは何かをうかがうように、わたしの顔を覗き込んだ。
「ねえ、ハル、もう一つあるんだけど、許してくれる?」
「え? 何が?」
「ハルの調子がイマイチだったら、出さないつもりだったんだけど……」
と、カナは言い淀む。
歯切れが悪いカナに、今度は何が飛び出すのかと身構えていると、
「えーと、次のも軽いから」
「軽い?」
「お色直しのドレス、作っちゃった」
「……え?」
「着てくれる?」
カナはわたしの手を取り立たせると、そのまま、一階の和室へと案内した。
カナが用意してくれた膝下丈のドレスはウェディングドレスよりも更に軽くて、
幾重にも重ねられた淡い色は光の加減でピンクにも水色にも色が移ろいキラキラと輝く。
賑やかな場で、わたしはほとんどを用意されたソファで座らせてもらい、カナと一緒に、入れ替わり立ち替わり、家族やクラスのみんなと写真を撮った。
「陽菜~、本当に叶太くんのものになっちゃったんだね~」
「ものって何よ、ものって」
しーちゃんの言葉に突っ込むのは田尻さん。
「そうそう。それを言うなら、オレがハルのものになったんだし」
カナがわたしを抱き寄せて、こんなところで爆弾発言。
「オレ、今日から牧村叶太だからね?」



