「陽菜、綺麗だ」
純白のドレスを着たわたしを見るパパの目は、もう潤んでいる。
花嫁控え室。
これはカナには譲らない、とパパがオーダーしてくれたのは身体にピッタリと添う、本当に世界一軽いシルクで仕立てたドレス。
冗談抜きで、普段着ている制服より軽いくらい。
胸元から首元、袖までがレースと花のモチーフで覆われている可愛らしいデザインの純白のドレス。
鎖骨の下からお腹に向かう大きな手術の傷痕がちゃんと隠れる上、細すぎて貧相な身体を、「華奢な」とか「可憐な」という言葉に置き換えてくれる優れもの。
腰までの短めのベールの下の髪の毛は綺麗に結い上げてもらい、ブーケと同じ淡いピンクとオフホワイトの小さなバラをあしらった。
バージンロードを歩く時に持つブーケは小ぶりのラウンド型。
小さいのに思いの外、重さがあって驚いた。
このサイズでこれじゃ、オーバルとかキャスケードみたいな大きなものは、どんなに重かったんだろう?
勧められるままに、この形を選んで良かったと胸をなでおろしたのは、今朝のこと。
「とっても似合ってるわ。叶太くん、なんて言うかしらね?」
ママがわたしを見て、眩しそうに目を細めた。
「カナは仮縫いや試着でも見てるし」
と言うと、クスクス笑われた。
「それとは全然違うでしょう」
首をかしげると、ママは面白そうにわたしを見た。
確かに、ブーケは今朝届いたのだし、髪の毛もお化粧もリハーサルはしてもらったけど、ドレスまで着て、すべてそろったのは今日が初めてかも知れない。



