ウェディングドレスを着たくないのかと聞かれたら、着てみたいと思わないでもない。

……けど、現実問題、



「……ドレス、重そう」



と言う気がしてならない。



重そう……と言うか、実際、重いんだろう。



とても綺麗なんだけど……、素敵なんだけど……。

着られるものなら、着てみたいと、思わないでもないんだけど……。



どこかで、10キロ近い重さがあると聞いたことがある。

そんな重いものを身につけて何十分も立っていられる自信がない。

ううん。もし、ただ座っているだけだとしても、相当大変じゃないかなと思う。



しかも、教会でお式って言ったら、それを着て歩くんだよね?



考えただけで、心は浮き立つどころか、どうしようと狼狽えてしまう。



「あー、確かに。……それは替わってあげられないもんなぁ」



と、カナは気遣わしげに、わたしの顔をまじまじと見た。



「あ、それじゃあ、世界一軽いウェディングドレスを作ってもらおうか?」



カナが良いことを思いついたというように、にっこり笑った。



「着るにしても、もったいないしレンタルでいいよぉ。それに、世界一ってなに?」



思わず笑ったけど、カナは苦笑いでわたしの髪に手を触れた。



「……ごめん、でも、ハル。オレの誕生日、真夏だし」



そう、カナのお誕生日は8月半ば。



夏の暑さにめっぽう弱いわたしは、その時期、学校にすらまともに通えなくなる。

その日だけ運良く涼しくても、それ以前に体調を崩して寝込んでいると、体力は地を這うような状態。



正直、とても結婚式なんて行事はムリだ。