二人のやり取りに、思わずクスクスと笑ってしまう。

おばさまも楽しげに笑う。



「今日はお昼も食べていってね? ランチは食堂で一緒に食べましょう?」

「はい。ありがとうございます」

「うふふ。張り切って作るから楽しみにしていてね」

「……お袋、ハル、そんなに食べられないから」



カナがわざわざ突っ込んでくれる。

でも、確かに、朝の10時におやつを食べたら、いつも以上にお昼が入らないのは確か。



「やーね。知ってるわよ。量じゃなくて質の方で張り切るんだから。……じゃあ、後でね」



おばさまは、ほがらかに笑いながら部屋を後にした。



わたしなんかがカナのお嫁さんで良いのかな……と正直、そう思う事もある。



お料理もお洗濯もお掃除も……家事はほとんど一切できない。

覚えようにも体力がついていかない。

しょっちゅう体調を崩しては学校を休み、年に何回も入院をする。

手術をすれば死にかけて、みんなに心労をかける。



その上……カナは、広瀬の姓を捨てて、牧村になる。



それでも、おばさまも、おじさまも、わたしたちの結婚を手放しで喜んでくれているのが分ったから、

わたしは躊躇わずに、カナとの人生へと進んでいける。



ありがたいなぁ……と、心から思う。



おばさまがわたしのために作ってくれたイチゴのタルトは、甘さ控えめでとっても優しい味がした。