「うん。……あのね、嫁にはやらんって言われたから、じゃあ、婿にしてください! って言ったんだ」
「……え?」
「オレが牧村になるから、おじさんの息子にしてって」
「……カナ?」
なんかとんでもない事を聞いた気がする。
「新居はハルの部屋で良い? それとも、新しくどこか借りた方が……って聞いたら、ここに住めって、即答」
カナの言葉を理解できずに呆然としていると、カナはくすくす笑って、わたしを抱きしめた。
「ねえ、ハル」
わたしの顔を覗き込み、カナは優しく、優しく笑った。
「オレね、実は、結婚の許可をもらうために、けっこう、頑張ったんだよ?」
カナはわたしの髪をそっとなでた。
「稼ぎもない若造が……って言われるよね、普通。だからね、ハルを養える男になろうと思ったよ?
オレ、もうサラリーマンの生涯年収、稼ぎ終わった」
「え?」
「明兄に、投資、教えてもらったんだ」
「……お兄ちゃん…に?」
「面白かったよ? オレ、才能あるって褒められた。
やめる気はないし、不動産も手に入れたから、食うには困らない。ハルのために最高の医療だって用意できるよ? ……って、こっちは、じいちゃんたちの力を借りなきゃムリだけどさ」
まだ頭が付いてこない。
サラリーマンの生涯年収? 不動産を手に入れた?
……カナが?
「そこまでして、ようやく、おじさんもじいちゃんも許してくれた。……おばさんは、最初から反対する気もなさそうだったけど」
確かに、ママならそうかも知れない……。
「……どう?」
「え?」
「ハル、褒めて?」
「……え?」
「オレ、本当に、けっこう頑張ったと思うんだけど……。
やっぱり、……ダメ、だった?」



