カナはわたしが怒ると思っているみたいで、眉を八の字に下げて、困ったようにわたしの顔を見た。
わたしの表情がゆがむのを見て、カナは、
「……ハル、言っておくけど、同情なんかじゃないよ?」
と諭すように言った。
「ハルは、1年前にオレが交通事故に遭った時、すっごく心配してくれたよね? 体調悪いのに、ずっとオレの病室にいてくれたよね?」
わたしは、カナの腕の中で小さく頷いた。
思い出しただけで、今でもあの日の恐怖が背筋を走る。
意識のないカナの手を握りながら、泣きながらカナの目覚めを祈った。
「同じだよ、それと」
「……え?」
「大切な人が苦しんでいる、辛い思いをしているなら、側にいてあげたいと思うし、少しでも楽になれるように何かしたいと思うのは、とても自然で、当たり前な感情だと思う」
カナはやけにきっぱりと言いきった。
それから、また困ったように眉根を下げた。
「……で、オレ以外にもハルを大切に思ってる人はいっぱいいる訳で、オレ、 その人たちのハルを想う気持ちにつけ込んだ。
もう高校生のハルを夜通し監視なんてできない。だけど、オレが結婚して、ハルと同じ部屋で寝ていたら、いつも一緒にいるんだったら、安心だろって」
「……で、も」
だけど、それじゃ、カナばっかりがわたしのために、いつも何かしてる。
わたしは、してもらってばっかりで……。



