「触れるだけじゃない、もっと恋人同士のキスをしたい……とかも思うよ?
けど、止まらなくなりそうで、怖くてできなかった」
それ、ディープキス……ってやつ?
小説で読んだだけでは、どんなものか、正直想像もつかない。
「ハルにはさ、ぜったい、結婚してからしか、しちゃダメだと思ってて、」
そ……それ、行為のことだよね?
「だから結婚をしたいって思いも……正直、少しはある訳で……」
カナはちょっと後ろめたそうな顔でわたしをちらりと見た。
「ハルも聞いてるかも知らないけど……、
オレさ、ハルの家の事情とか、ハルの身体のこととか引き合いに出して、結婚の了解取った」
「……そうなの?」
「そっか、聞いてないか」
カナは意外そうにわたしを見た。
それから、少しためらった後、わたしの顔をじっと見て、言った。
「ねえ、なんでハルは結婚したくないの?」
と口にしたすぐ後、カナはははっと笑った。
「ごめん。最初に聞いたね。ハルは今の状態で満足してるんだよな」
自分で聞いて、わたしが答える前に自分で答えを出したカナ。
カナは少し寂しそうで、なんだかとても、……本当にとっても申し訳なくなってしまう。
カナの願う通りにしてあげたいのに。
こんなにカナが好きなのに。
……こんなにも好きなのに、
なんで、結婚って言われると、こんなにも嫌なのかな?



