「カナ?」
「ハルはこれで足りてるんだ。……そっか、ハル淡白だもんな」
「え? なに?」
「いや、オレが欲張りなのかな……それか、……オレが男だから?」
とカナが困ったように頭を掻いた。
とうとう、真っ赤になったカナは途切れ途切れに話し出す。
「ハルはぜんぜん気づいてないけど……さ、
オレ、さっきから、もうどうにかなりそうで、……自分を抑えるので必死なんだけど……」
「え? ……なんで?」
意味が取れずにいるわたしに答えることなく、カナは続ける。
「オレの部屋にハルがいる。それだけでも興奮するのに、ハル、平気でベッドに座るし、オレに触れてくるでしょう?」
「……あの……興奮って……何に?」
カナがふうーーっと疲れたように、大きく息を吐いた。
「ハルは、そう言うの……………………まあ、知らない……よな」
カナは困ったように、頭を抱えるようにしてテーブルに伏せた。
……カナ?
十秒ほどの沈黙の後、カナはほんの少し顔を上げて、上目遣いにわたしを見た。
「あのね、ハル。オレ、一応男なのね?」
「……うん。知ってる」
「えーっと、そう言う意味じゃなくて……」
カナはさらに困った顔をした。
「……なんか、すっげーいけないことしてる気分。侵しちゃいけない聖域に踏み込んでるっていうか何て言うか……」
カナはボソリとつぶやいた。



