10時過ぎに、家の前で待っていてくれたカナと一緒に、久しぶりにカナの家の門をくぐった。



「陽菜ちゃん、いらっしゃい!」



玄関を入ると、おばさまが笑顔で出迎えてくれた。



一気に、気持ちが中学生の頃に戻る。

そう、いつ来ても、こんな感じで出迎えてもらった……。



「陽菜ちゃんが家に来てくれるの、久しぶりよね?」

「……すみません、ご無沙汰してしまって」



おばさまの言葉に他意がないのは分っているのに、思わず小さくなってしまう。



「あら、こちらこそ、いつも叶太がお邪魔してばかりで、ごめんなさいね」

「いえ! 全然!」



思わず力を込めて言ってしまうと、おばさまはクスクスと笑った。



「ハル、上がって上がって」



カナに続いて靴を脱いで玄関を上がり、靴を揃えてから、出されたスリッパに足を通す。

自分の家とは違うカナの家の空気が懐かしくて、そして新鮮だった。



「えーと、リビングの方が良い?」

「ううん。カナの部屋に行きたいな。……いい?」

「もちろん」



カナは嬉しそうに笑うと、先に立って歩き出した。



「ハル、階段、抱いて上がろうか?」



階段の前でも懐かしさに駆られて立ち止まっていると、カナに気遣わしげに聞かれてしまい、思わず苦笑い。



そうだよね。

自分ちの二階すら、数ヶ月に一回しか上がらないなんて言ったもの、心配にもなるよね。



「大丈夫だよ」



表情を曇らせ、わたしを見下ろすカナに笑いかける。