幼い頃を思い出す。
よく、こんな風に寝かしつけてもらった。
初めて聞く話ばかりだった。
どれもこれもが新鮮で、牧村総合病院はおじいちゃんの夢で……、パパにもママにも若い時があって……。
今まで見えなかった世界の一端を知り、どこか視界が広がったような気すらする。
おばあちゃんは謝ってくれたけど、どこにも、わたしに謝るような要素はない。
いつだって、大切に大切に育ててもらったもの。
ママの手料理なんて、過去何回食べただろうってくらいだけど、おばあちゃんの手料理なら何度も食べさせてもらった。
子どもの頃は、体調が悪い時の看病から、病院の付き添い、入院中のお世話だって、ほとんどおばあちゃんがしてくれた。
だからって、過度におばあちゃん子にならなかったのは、きっと、いつだって、どんなにかパパやママが頑張っているか、わたしを愛してくれているかを聞かされて育ったから……。
うつらうつらと目を閉じてそんなことを考えていると、おばあちゃんの手がふっと離れていき、しばらくして、ドアがパタンと閉まる音がした。
その音で、また目が少し覚めた。
おばあちゃんの言葉が何度も頭に浮かぶ。
「見えたものを素直に感じて、あなたの心が求めるままに動きなさい。
誰に遠慮する必要もないのよ。気持ちを抑えたり我慢をしたりする必要はないのよ?」



