「これからも、いっぱい迷惑をかけると思うのだけど、……よろしくね」
「迷惑だなんて! 一度だって、そんなことを思ったことはありませんよ」
おばあちゃんは、わたしをギュッと抱きしめ返しながら、そう言った。
それから、わたしをまた寝かせると、おばあちゃんはカナのことを話し出した。
「叶太さんとのことは、世間の常識や世間の目は気にしなくても良いのよ。
常識なんて、ただの多数派なことも多いし、時代が変われば常識も変わるわ。
人に合わせるのが必要なことももちろんあるけど、結婚に関しては、大切なのは誰かじゃなく二人の気持ちよ」
おばあちゃんは諭すように、そんな話をしてくれた。
そして、続けた。
「陽菜、いつも物事を色んな方向から見てみなさいと言ってきたわね。
今回も同じよ。
叶太さんの方からも見てみなさい。きっと、見えなかった何かが見えるから」
そう言って、おばあちゃんはわたしの頭を優しくなでた。
「そしてね、見えたものを素直に感じて、あなたの心が求めるままに動きなさい。
誰に遠慮する必要もないのよ。
気持ちを抑えたり我慢をしたりする必要はないのよ?」
おばあちゃんは、そこまで話すと、
「長話をしてしまったわね。
顔色が良くないわ。……ごめんなさいね。少し眠りなさい。目をつむって?」
と、優しくわたしの頭をなでた。
言われて反射的に目をつむる。
おばあちゃんはそのまましばらく、トントンと掛け布団の上からリズミカルに胸元を叩いてくれた。



