「おばあちゃん、そんなことをないわよ? わたし、十分に幸せだし……。おばあちゃんがいつも言ってくれていたこと、どれも大切だと思うし……」
それでも……とおばあちゃんは続けた。
「もしも、陽菜がわたくしの子どもとして生まれていたなら、こんなに厳しく育てられたか分からないのよ。
きっと……響子さんから預かった大切な子どもだから、きちんと育てなくちゃと思ってしまったの」
おばあちゃんの目から溢れた涙が、つーっとほおを伝った。
「おばあちゃん、もし甘やかされて育っていたら、きっと、わたし、こんなにみんなから愛されていないよ?」
自分で言うのも気恥ずかしいけど、わたしは、たくさんの愛情に包まれて生きていると思う。
病院では、ワガママ放題の暴君も珍しくない。
親にだけワガママというのなら、まだ良い。
だけど、誰に対してもいつも文句ばかりで感謝一つしない子どもも多くて、そういう子たちは、気の毒にと、可哀想だから許してやるかと同情はされても好かれることは決してない。
もし、自分がそちら側に行ってしまったら?
考えただけで怖くなる。
「おばあちゃんに、生きていく上で、人として大切なことを教われて、わたし、本当に幸せだよ?」
言葉だけでは足りない気がして、ゆっくりと身体を起こした。
「陽菜?」
「おばあちゃん、大好きよ。……いつも、いっぱいいっぱい、ありがとう」
枕元の椅子に座るおばあちゃんを、ギュッと抱きしめる。
「……陽菜」



