「ごめんね、陽菜」
「え?」
「あの時、やっぱり子どもにはママが一番……と言っていたら、きっと陽菜はこんなに寂しい思いをしないで済んだわ」
「え? 寂しいって?」
「明仁が家を出てから、週の半分以上を一人で夕飯を食べているのだと聞いたわ」
ああ、なるほど。
「おばあちゃん、気にすることないわ。わたしだって、たくさんのお医者さまにお世話になっているもの。
誰にでもできる訳ではない、大切な大切なお仕事だって、分かっているわ」
おばあちゃんは更に痛ましげな表情をした。
おばあちゃんの目は潤んでいた。
「……ごめんなさい、陽菜」
「おばあちゃん?」
もう一度、おばあちゃんはごめんと謝る。
いったい何に謝ると言うのだろう?
「本当に、陽菜は良い子ね」
おばあちゃんは泣きそうな顔でわたしを見た。
「あなたは、響子さんから預かった大切な命だったの。
小さい頃は、本当によく体調を崩していたから、少しでも陽菜の身体が良くなるように、楽に過ごせるようにと、そればかりを考えていた。
けどね、越えられないと言われていた3歳の壁を越えて、将来のことを考えなくてはいけなくなった。
我が子に病気があると、とにかく甘やかして我が儘に育ててしまう人も多い。
だけど、そんな子にはしたくなかった。
わたくしは必要以上に、陽菜を厳しく育ててしまった気がするのよ……」



