気が付くと、自分のベッドで眠っていた。



おばあちゃんが部屋にいて、わたしが目を覚ますと、スッと側に来てくれた。



「家に戻って30分も経たないくらいよ? ……お口をゆすぎましょうか?」



おばあちゃんに介助されて渡されたコップの水で口をゆすいだ。

スッキリすると同時に、眠りに落ちる前の記憶もよみがえる。やるせない気持ちを思い出して、思わず表情が曇った。



「陽菜、お水飲む?」



差し出されたコップからお水を飲む。



「少し、横になりましょう」



言われるままに、身体を倒す。



眠っていたせいで収まっていた涙が、


いつもの自分の部屋の中にいると、知らず知らずの内に、またこみ上げて来ていた。



ここにはカナの気配が色濃くありすぎる。



わたしの世話を一段落させたおばあちゃんは、苦笑いを浮かべて、わたしを見た。

そして、小さく肩をすくめてから、わたしの枕元の椅子に座った。



「わたくしも、本当に驚いたわ。正明さんだけならまだしも、幹人や響子さん、まさか広瀬家の方まで賛成だなんて」



おばあちゃんのその言葉に、わたしはようやくおばあちゃんの顔を見た。



正明さん……おじいちゃんだけならまだしも……。

おばあちゃんの口から初めて聞く、カナとわたしの結婚のお話だった。