話が一段落したのを見て、



「陽菜、起きられますか?」



おばあちゃんはわたしの涙を拭きながら、背中に手を当てた。



「……ん」



支えられて、ゆっくりと身体を起こす。

たったこれだけの動作で息が上がる。



「車まで歩けそうかしら? 無理なら、人を呼んで……」

「……だい、じょう…ぶ」



どこが大丈夫なのかと、自分でも突っ込みたくなるような途切れ途切れの「大丈夫」。

だけど、おばあちゃんは、わたしの身体を支えて立たせてくれた。



「肩貸すよ」



と田尻さんが、おばあちゃんとは反対側を支えてくれた。



「あり…が、と」



ゆっくりと移動して、門の外に出ると、おじいちゃんところの運転手さんが慌てて飛び出してきた。

そのまま、車の後部座席に乗せられて、体調が悪い時の常で、車酔いを起こして息も絶え絶え、自宅へと向かう。



「陽菜、……眠れるなら、眠りなさい。その方が楽だから」



乗車して5分も経たず、気持ち悪くて耐えられず数度吐いた後に、おばあちゃんに背をさすられながら、意識を失うように眠りに落ちた。