今日は家にパパもいる。

もしかしたら、おじいちゃんもいたかも知れない。



だけど、嫌だったんだ。

結婚しても良いよって、言ってくれた、優しい人たちには会いたくなかったんだ。



家に帰れば会うんだけど、それは分かっているんだけど、

思い浮かんだのは、3月終わりの誕生日パーティの場にいた人の中で、ただ一人、結婚について何のコメントもしなかったおばあちゃんだった。



カナは、パパやママだけでなく、おじいちゃんすら味方に付けていたから……。

お兄ちゃんも晃太くんも、広瀬のおじさまもおばさまも、みんな……。



ただ、おばあちゃんだけが、何も言わなかったから……。



「牧村さん、聞こえてた? おばあさん、すぐ来てくれるって」

「……あり、が…」

「だから、返事は良いってば」



今日、何度、そう言われただろう?

田尻さんは呆れたように



「ホント、真面目だよね。こんな時くらい、いい加減になりな?」



とぼやいた。

その言葉に中にも、やっぱり暖かい気持ちが込められているのを感じて、今度は、心の中で「ありがとう」とつぶやいた。