あふれ出す涙は一向に止まる気配がなくて、息苦しくて仕方ない。



ハアッ……ハアッ……



呼吸に合わせて、肩が大きく上下する。



「だ……い、じょ」

「全然、大丈夫じゃないし!!」



田尻さんが焦った声で言いながら、わたしの背中をさすってくれる。



息が苦しい。

涙……止めなくちゃ。

そう思うのに、止まらなくて……。



「と、とにかく、横になって?」



言われるままに、支えられて身体を倒す。



革張りのソファ、涙で濡れちゃう……。

手に持っていたタオルハンカチで涙をぬぐうのだけど、次から次へとあふれ出して来て……。



「……ご……めっ……ね」

「しゃべらなくて良いから!」



怒ったような口調の田尻さん。

でも、わたしを心配してくれているだけだって、知ってるから、全然怖くなんてないんだ。

貧血も起こしているみたいで、目に入る景色が黄ばんでいた。



「救急車、呼ぼうか」

「……いら、な」

「でも、牧村さん、真っ青だよ」

「……だい、じょう…ぶ、だか……」

「ああ、もう、しゃべらなくていいってば! それに、全然、大丈夫に見えないし!」



ごめんね。



わたしを心配する気持ちの中に、恐怖が混じるのを感じる。