「うっわぁ、ロマンチック~」
田尻さんの声はひたすらに明るい。
「……そう、かな?」
対照的に、わたしの声は沈んでいく。
それ以上に、言葉が出てこない。
やっぱり、喜ばなきゃいけなかったのかな?
ありがとうって思わなきゃいけなかったのかな?
まだ17歳なのに、
親のすねをかじっているような年なのに、
家事だってろくにできないのに、
まるで健康には縁遠い身体なのに、
子どもを産むことだってできない身体なのに、
結婚しても良いよ、望む通りにして良いよって言われたこと、
感謝しなきゃいけなかったかな?
カナにプロポーズされたこと、感謝しなきゃ、いけなかったかな?
「……牧村さん」
気が付くと、涙があふれ出していた。
田尻さんに名前を呼ばれ、慌てて持って来たトートバッグからタオルハンカチを取り出した。
「……ご…めん」
両目を押さえて、涙を吸わせる。
感極まってあふれ出した涙は、ほどなく止まった。
ねえ、聞いてもらえる? 話しても良い?
「わたし、……心臓、悪いでしょ?」
「うん」
田尻さんはさっきまでとは打って変わって、真面目な顔で頷いた。



