数秒程の空白の後、ようやく田尻さんの反応が返ってきた。
「……は? ……プロポーズ? って、結婚しましょうって、あれ……だよね?」
「……うん。誕生日にプロポーズされて、8月のカナの誕生日に結婚して欲しいって」
田尻さんはマジマジとわたしの顔を見た。
あまりに真っ直ぐな視線に、思わず目をそらしたくなる。
「……今年の、8月に?」
「うん」
「再来月の、8月?」
「うん」
「叶太くんの、18の誕生日…………って、ええっ!? 18歳で結婚!?」
「うん。……あ、わたしは、17だけど」
と冷静に言うと、田尻さんはようやく表情を緩めて、
「牧村さん、3月だっけね」
と言った。
「よく知ってるね?」
「だからー、ハルちゃん情報って、結構出回ってるんだって」
そう笑顔で言いつつ、田尻さんは不意に真顔になった。
「で、結婚するの?」
「……できると思う?」
質問返し。
だって、できる訳ないじゃない。
「え? しないの?」
田尻さんの言葉に目が点。
あんなに驚いてたのに、なんで、この質問?
「できないよ」
「なんで?」
……なんでって。
だって、田尻さん、できる理由なんてある?
まだ高校生で、17歳で……。
この後は大学生になるから、働き始める予定もなくて……。
でも、田尻さんはそんなことを聞いているんじゃない、なぜかそう思った。



