田尻さんはわたしの言葉に吹き出した。
「まあ、叶太くんがいるからねー、誰も手出ししないから、気が付かないかもね」
と言ってから、「いや、やっぱ、普通気付く?」とかつぶやく。
わたしが困っていると、田尻さんはクスクス笑いながら立ち上がった。
「ごめんごめん。とりあえず、なんか、飲み物でも持ってくるよ。麦茶とオレンジジュースだったら、どっちが良い?」
「じゃあ、麦茶お願いします」
「だから、なんで敬語かなー」
と、また笑いながら、隣のダイニングを通り、奥のキッチンに入っていった。
「あ、わたし、ティーバッグなら紅茶も入れられるけど、暖かい紅茶の方が良い?」
奥から大きな声が聞こえる。
「ううん。麦茶で大丈夫!」
田尻さんに合わせて、つい大きな声を出してしまう。
自分の声の大きさにビックリしていると、更に大きな田尻さんの返事が返ってきた。
「りょうかーい!」
田尻さんを待つ間、窓から外を見ると、大きな木が数本と花壇、そして広々としたウッドデッキが目に入る。
ウッドデッキにはベンチとテーブルも置かれていて、とても良い雰囲気だった。
あそこでお茶したりするのかしら?
田尻さんが優雅にお茶する姿を想像してみようとするけど、上手く行かない。
一緒に思い浮かべようとした弟さんの姿も思い描けなかった。
小6の弟って、どんな感じかな? 野球するくらいだから、元気いっぱいなんだよね。



