その次に来たのはお兄ちゃんだった。
お兄ちゃんは、朝食を乗せたトレーを手にしていた。
「陽菜、調子はどう?」
サイドテーブルのティッシュと水差しを勉強机に移動し、替わりにトレーを置く。
お兄ちゃんはダイニングで済ませたみたいで、トレーにはわたし用の卵がゆだけが乗っていた。
パパやママのように何か言うのかと思っていたけど、お兄ちゃんは何も言わなかった。
「食べさせてやろうか?」
お兄ちゃんは土鍋から、お茶碗におかゆを移しながら、そんなことを言った。
まるで小さい頃みたいに。
「……うん」
思わず頷くと、お兄ちゃんは嬉しそうに、おかゆを混ぜて冷ましてくれた。
最後に、ふーっと長く息を吹きかけて冷ます姿を見ると、不覚にも涙が浮かんでしまった。
小さい頃は、よく、こうやって食べさせてもらった。
「どうした?」
「……何でもない」
ただ、お兄ちゃんがここに一緒に住んでいた頃を思い出しただけ。
そして、懐かしくなってしまっただけだから。
ほほ笑みを浮かべると、
「なら良いけど。……しんどかったら、言うんだぞ?」
と、わたしの頭を優しくなでた。
せっかく食べさせてもらったのに、数口食べるだけで精一杯だった。



