「そうそう。指輪は外して、机の上に置いてあるからね」
言われて、ようやくカナの言葉を思い出す。
「8月のオレの18の誕生日が来たら、ハル、……オレと結婚してください」
思い出すと、何故か心がザワザワと揺れた。
左手に触れると、確かに何もなかった。
言われなければ、思い出すこともなかったのに……。
思い出したくなかったのに……。
だけど、ママは沈黙を何と取ったのか、わたしを安心させようとするかのように優しく言った。
「心配しなくても大丈夫よ?」
「……な、に?」
「パパも私も、反対はしないから」
……え?
想定外の言葉に、あまりに驚いて、何も言えなかった。
「広瀬さんご夫妻も了解しているし」
……なんで?
「陽菜が望む通りにして良いのよ?」
ママはわたしの驚きと沈黙をどう取ったのか、優しくわたしの髪をなでた。
……まるで、わたしが結婚を望んでいるとでも思っているかのように、ママは優しく笑った。
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