「………え?」
何が起こったのか、正直、まだ分かっていなかった。
だけど、恋愛小説でよく見るこのシチュエーション。
左手に増えた重み。
カナが自分の手で、わたしの両手を包み込むようにして、わたしの前に跪いて、請うように言った。
「ハル、愛してる」
あまりに思いがけない言葉に、欠片も考えたことのない言葉に、わたしの頭は真っ白だった。
真っ白の頭に浮かぶのは、ひたすら「なんで?」という疑問だった。
わたし、やっと17歳になったところだよ? まだ、高校生だよ?
……なのに、結婚?
身体が弱くて、家事だってまともにできない。
もちろん、この先だって、きっと一生外で働くことなんてできない……。
それ以前に、成人できるかすら危うい気がしているのに……。
将来の夢を語ることすら、わたしには難しいのに……。
うっかり呼吸するのを忘れて、息が苦しくなる。
……あれ? 息って、どうやって吸うんだっけ?
あれ? 吐くんだっけ?



