14年目の永遠の誓い


「……ねえ、なんで、カナがわたしにプロポーズすること、……みんな知ってたの?」



普段のハルなら出さない硬い声。



「え?」



「……パパもママも、

わたしが望むなら、好きにしていいって言うの」




ハルはうつむいて唇を噛み締めた。




「誰も……驚いてなかった」

「ハル」

「……知らなかったの、わたし……だけ?」

「え…と、それは……」




言葉に詰まると、いつになくハルは厳しい声で言った。




「……ねえ、なんで、パパやママが、結婚していいって言うの?」




疑問系でありながら、ハルはオレの答えを待たずに、次の言葉を綴る。




「わたし、まだ高校生だよ? なんで? どうして、わたしが何も言ってないのに、結婚なんて許してくれるの!?」




一気に言って、ハルは苦しそうに大きく何度も肩で息をした。
慌てて、オレはハルの背に手を伸ばし、ゆっくりとハルの背中をさする。

なんで? なんでって、……オレが話したからだ。

オレが許可をもらったからだ。

けど、言葉に詰まる。

どんなにオレたちが想い合っていても、オレたちは未成年で……、まだ高校生で……、ハルの両親はもちろん、オレの両親の許可なく結婚はできない。

だから、オレは先に根回しに走った。

プロポーズは、その後で良いと思っていた。



オレは自分の失態に、ようやく気付いた。

オレはどうしてもハルと結婚したかった。
だから、ハルもそうだと思い込んでいた。

けど、ハルは結婚なんて、考えてもいなかったんだ。

オレが最初に話すべきは、ハルだった。

痛恨のミス。

だけど、順番の間違いは今更取り戻せない。



「ごめん。……ハルに一番に話さなきゃいけなかった」