「あ…りがとう。…もらっときます。」
「どういたしまして」

箱の中には桜柄の球体をした鈴のペンダントが入っていた。

「あっ…これ、私が見てた桜球鈴。」
「そう。燐には似合うから。」

笑顔で答える堺人。

『今日からコードネームは殺だね。がんばってね。』

そう言って扇は1つの鈴を渡してくれた。
その事を思い出したとき、燐の目から雫がこぼれた。

「!!どうしたんだ。」

それを見て堺人は驚き慌てていた。

「!…これ、なに?目から雫?え?…」

燐は頬まで伝わった雫を手でぬぐい、手についた雫を見る。

「燐、涙をしらないのか?」
「なみだ?これが涙」

燐はジーっと手でぬぐった涙を見る。

「もしかして初めて?」
「うん。でも、涙は悲しいときに流れるって聞いたけど。」

燐はキョトンと首をかしげる。

「燐の今の気持ちは?」

堺人に言われて燐は少し顔を赤くして

「う…嬉しい。とても嬉しい。」

と言った。それを聞いて堺人は微笑みながら

「それは、嬉し涙だよ。よかった、悲しんでなくて」

安心した堺人は力が緩くなりソファーにもたれる。

「これをもらって悲しいことが理解不能。」
「あぁ、ごめん何でもないよ。」

燐は首をかしげるが堺人はそれ以上なにも言わなかった。 


「…桜球鈴のペンダント。綺麗。」

燐は自分の部屋で桜球鈴を見続けていた。