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『グリムズは悪だ!!…父上を殺したグリムズの…グリムズの子供達もみんな悪なんだ!!!!』

頭の中でこの言葉が何度も繰り返される。

「グリムズは悪じゃないのに…」

燐は部屋でポツリと呟いた。

「悪じゃないって?」

そこにいつのまにか堺人がいた。
燐が呟いたことは授業で習ったことを否定しているようなものだ。それはグリムズについて知っていると言うことにもつながる。

「……………」
「何か隠し事あるよね。」
「……………」
「話してくれないかな」
「……………」

なにを言われても黙るつもりだった燐を見て堺人は

「…人それぞれ隠し事はあるものだよ。でも、話せたらなんでも話してくれ。」

と、強引に聞くつもりはないらしい。それを見た燐は目を開いた。いままでこんなことなかったからだ。

「……あ…ありが…とう…」

燐は詰まった声で言った。
堺人は微笑んで燐の部屋を出た。

『燐聞こえる?』

机に置いてあった通信機からアーミャの声が聞こえた。

「どうしたの?」
『グリムズからの任務…なんだけど」
「今から?」
『今日ではないよ。任務については情報を持ってる人がいるんだけど………師匠が…来る…らしい」
「………休みたい。」

アーミャの言葉に燐は涙目になった。

『いいけど、後でどうなるかな』

一瞬にして燐は1つのことを思い出した。

(こっ殺される…)

任務を休んだ日の時の師匠はとても恐い。燐ですらも恐れるのだ。

『近頃会うだろうね。』

そう言った黒のローブを着た女性の声は燐とアーミャの師匠の声だ。

『あれから…1週間たつよね。』
「うん。あのときはビックリした。」
『だろうね。会うのは明日学校の帰り、それと…』
「…分かった。」