~・~・~・~

日はすっかり沈み、月が出てくる。

「殺、蝶(ちょう)を見つけました。」

ローブを着た女性は通信機を使って相手に報告をしていた。

フードをかぶっておらず、顔からして20歳あたり。
彼女は今、繁華街を少し離れた時計塔のてっぺんにいた。

『そうか、あの2人たちはグリムズを裏切ったわけではい。殺すなよ。』

通信機から聞こえたのは40代の男性だ。
口調からしてこの女性より身分は高いと分かる。

「しかし、脱走者ですよ?」

『分かっている。だが、あの2人のおかげで標的は速やかに殺れている。あの2人を殺してしまえばどうなるか、分かるな?』

「……分かっています。」

『ならば速やかに任務に就きなさい。いいな。』

「了解」

女性は通信機を切ったあと、ため息をついた。

「でも、やっと会えるのね。殺と蝶…私の可愛い弟子達。」

そう呟いて女性は夜の闇の中えと消えた。