薄暗い洞窟の中にあるハーメルンのアジト。
「それは本当なのか?」
陽は女性に確認する。
女性は頷くだけで何も声を発しない。
「そうなると……」
陰は困ったような表情だ。
そこで、女性は声を発した。
「私達は何もできない。
私とメイリンはここを動けるけど、この子たちは違う。」
女性はメイリンと呼ばれた少女を抱き寄せる。
それを、少し悲しい表情の陰と陽。
ここはハーメルンのアジトの1つ、呪いや特殊な魔法をもつ子供たちがいる部屋。
陰と陽はハーメルンに属している子供たちと話をしていた。
誰にも見つからぬよう2人は存在感を薄め、子供たちは2人を直視しないようにしていた。
「私達は“ ”にも属している。
そもそも“ ”こそハーメルンの子供の唯一の居場所であり、ハーメルンの駒であることの証。」
女性はため息をつきながら少女と共に、陰と陽をアジトの外へと通じる隠し通路に案内する。
「これが全て。私達を救ってとは言わない。
それは叶わない私達の夢。
……だけどハーメルンは絶対止めて。
これが、私達の最大の夢。
私達はその夢を自ら壊す悪人、どうか私達を倒して」
「あっもう行った方がいいよ。
見つかると厄介だし私達にも被害が飛ぶから。
もう、死人はいやだから……」
メイリンはふんわりとした口調だが、言葉はどこか重みを感じる。
強化の呪いと破壊の呪いを使う女性 メイフォン
と
消滅の呪いを使うメイフォンの妹 メイリン
この2人はハーメルンにいる孤児。
そして、ここにいる孤児のリーダー。
陰と陽がその通路の先にある扉をあける。
そのときハーメルンの子供たちは声に出さず言った。
「さぁ、戦争の始まりだ。罪あるものの戦いだ。
……どうか私達に幸せが来ますように」
この矛盾した言葉とともに扉は閉じた。