「ハーメルンの動きですが、今のところアジトで静かにしています。
陰と陽が帰ってきていませんが、非常事態ではないようです。」
朝食を終えた燐たちは、ハーメルンたちとの戦いに向けて作戦会議。
通信伝達班の楓と薬と情報収集班の陰と陽は定期的に連絡を取り合っている。
そのため、陰と陽が危険な目には会っていないことがわかる。
「ハーメルンもあるけど、私達には全国代表戦もあるからねぇー。
もしかしたら、そこを襲ってくるかもしれない。
どうなるか分からないけど警戒体制は今まで以上に厳しくなると思うけど……」
扇は ウーム と悩む。
警戒体制を強化しても、何かは起こるだろう。
そんなことを考える扇。
「あっ、全国代表戦……」
アーミャ、蜘夜、神無月は 忘れてた といった表情だ。
「えっ忘れてたのですか!」
レインは呆れた表情だ。
「全国代表戦ってなんですか?」
朧月と天莉亜は興味津々だ。
2人は光国とは縁がなく何も知らない。
「ああ、学校でね、魔法の大会があるんだけど。
全国学校代表大会って言って光国の各学校の体表者が個人、小隊で戦うんだよ。」
扇は分かるように簡単に説明する。
それに頷く朧月は何かを決めたようだ。
「陰と陽からの情報しだいですが…
仕方ありません、私も協力しましょう」
朧月はにっこり笑顔だ。
どことなく扇に似ている笑みだ。
「あー、スイッチが入った…」
獄は苦笑いでそう呟いた。
その呟きと今までの扇を重ねると、さらに厳しい修行が始まるのだと感じる堺人たちであった。
朧月はこれまで扇、獄、燐たち扇小隊メンバーその他にも、グリムズの子供たちを優秀に育てたプロフェッサーであり、
人間ではないと言われる子供たちを人間に導く神のような存在。
そう、扇は思うのであった。