「ひーくーん!」

扇は子供のように獄に飛び付く。
獄は苦笑いをする。

「殺、蝶久しぶりだな。扇の言っていた通り大きくなったな。」

獄は父親のように燐とアーミャの頭を くしゃくしゃ と撫でる。

「「…………」」

カインとなぜか堺人は複雑な顔をしていた。
もちろん、そんなこと誰も気づかない。

「あっ、自己紹介がまだだったな。

俺は アルス 5 獄。 よろしくな!」

獄はニコッとするが、どこか近寄りがたい雰囲気を漂わせている。

「ひーくん、楓と薬はもうこっちにいる?」
「2人の時以外は獄な。

 楓は家にいる。薬は多分森だな。」

獄は扇の頭を撫でながら言った。

「相変わらずだね薬も。また、薬草の採取に行ったんでしょ?」
「だろうな。楓は部屋を綺麗にしてる。」

獄と扇はクスクス笑いながら歩きだした。
燐たちはその後を追う。

「ただいま~我が家~」

扇はログハウスの前に立つや大声で言った。
どうやら、扇の実家のような場所らしい。

「えっ扇さんってこの島出身だったの!?」

少し困惑する堺人たち。

「うーん、私はアルテーナ諸国出身だけど7歳のときにグリムズきたかなー。

その時、獄も一緒だったよー」

扇はニコニコしながら言った。
アルテーナ諸国も魔法で有名な国であるためグリムズにいてもおかしくないだろうとは思う堺人たち。

「お帰り、扇。」

ログハウスの中に入ると男性と女性と楓がい
た。

甘栗色の肩ぐらいありそうな髪を後ろで束ねている。瞳の色は白。

「こんにちは。」

その男性はニコッと微笑む。年齢は30代前半あたりだろうか。

同じ年齢あたりの女性は、飴色の2つの腰辺りまである3編みの髪で、森林のような色の瞳をしていた。

「こっこんにちは」

堺人たちは緊張したためか言葉につまづく。
それに男性は苦笑する。

「そんなに緊張しなくていいですよ。
私は 凩 朧月です。
獄と扇の保護者みたいな感じですかね。

そして、こっちが妻の」

「凩 天莉亜 (こがらし あまりあ)です。

よろしくね」

天莉亜は爽やかな微笑みで自己紹介をする。
堺人たちも自己紹介をする。