午前中の中等部は講義、高等部は実技で午後からはそれぞれの小隊、大隊の訓練。

学院内代表選の時のようなお祭り騒ぎは消えていた。

いつも通りの日常に戻っている。

馬車は校舎を素通りして、校舎より少し離れた寮に向かった。

「じゃあ、各自に実用品をまとめてきてね。
1時間後にここに集合ね。

かいさ~ん」

扇が言うと、それぞれの部屋に向かった。

~・~・~・~

「なんか、久しぶりに感じるなぁ」

堺人は部屋にはいるや深呼吸をする。

「確かに。本当はゆっくりしたいのだけど」

燐はリビングにある机をなでながら頷いた。
だが、すぐにこの部屋から離れなければならない。

「さて、荷物を整えないとね」

堺人は、そう言って自分の部屋に入っていった。

「…………」

燐も自分の部屋に入り、ジッ と眺める。
少し埃がかかった机、日差しがかざすベッド。

燐はベッドに座り真っ白の壁を ボー と見る。

「…………準備しないと」

燐は押し入れからカバンを取りだし必要な物を入れていく。

パジャマや歯磨きといった物しかないため、ガバンの中はがら空きだ。

「燐ー。準備できた?」

40分くらいたった頃にリビングの方から堺人の声が聞こえ、カバンを持ってリビングの方へ向かう。

「できたよ。」

今の燐の服装は藍色のシンプルなワンピースを着ている。
学校の制服とグリムズの制服はカバンの中に入っている。

2人部屋の鍵を閉めて、集合場所に向かって歩こうとしたら、隣の部屋からアーミャとカインが部屋から出てきた。

「……アーミャ荷物多くない?」

燐はカバン1つだが、アーミャは大小1つずつもっている。
燐の質問にアーミャは そう? と首をかしげる。

「普通に服とか入れただけだけど……あ!もしかしてこれがあるからかな?」

アーミャは小さいカバンから出したのはクーイ国のローグレン魔法学院の制服。

「なんで、その制服を?」
「それは俺でも分からん」

堺人はカインに問うが全く分からないらしい。

「それはね……」

アーミャは燐の耳の近くで何かを言った。
聞いた燐は納得の表情。

「あー。確かに喜びそう」

燐とアーミャは何かを想像したのだろう、クスクス笑いだす。

「?どうしたんだ?」

全く分からない2人は首をかしげるが なんでもない と教えてはくれなかった。

「ほら、いこー!」

アーミャは廊下を走る。
燐は呆れた顔をするが、後を追う。
堺人とカインはお互い顔を見合わせた。