扇が起きてから2時間がたった。
この時間には扇は屋敷に戻っており、全員起きている状態だ。

「それで、提案というのは?」

風座間は扇が夜に言っていた提案とやらを聞いていた。

「はい、私達グリムズはこの次元とは異なる次元に島を所有しています。

……詳しいこと言えませんし、次元探知もできないようにされています。

もちろん、グリムズメンバー以外はその次元の場所に行っても、探索することもできません。

その島で、対ハーメルンのために訓練をしようかと……

堺人くんたちはまだ延びしろがあります。
まぁ、まだ中学生ですが……その力を引き出そうと思います。

私を入れて、6人が指導します。
あと、ウルマス・サリアンも含めて、

その許可と、
学院には何か言い訳をお願いしたいのですが……」

風座間は考えることもせずに許可を出した。

「フム、許可しよう。
学院には代表小隊の強化合宿とでも言っておく。
その間の単位も安心してよい。」

その言葉に扇は安心し、ありがとうございます と一礼する。

「それで、日にちは決まっているのか?」

風座間は扇を見ると、扇は微笑んで言った。

「今日の昼にいきます」

………………………………………………えっ?

これが、全員の心の声だ。

「……そっそうか、だが荷物はどうするのだ?」
「昼までに学院に戻り荷物をととのえますので大丈夫です。」

扇の急な決定に、グリムズメンバーは呆れた顔をする。

『……本当に急だな…』
『…はい。』

柳と紅葉は目だけで会話をする。
それもそうだろう と納得できる。

「……分かった。馬車を用意する。

生徒には魔法陣の故障によって、転移先が違ったということにしてある。」

風座間は百合咲に馬車の用意をするよう言っている間に扇は楓と薬に指示を出していた。

「……陰と陽がいないようだが?」
「2人は任務に出ています。
何日かは帰ってこないですね。」

風座間の問いに扇は軽い声で言った。
どちらかというとこの時期に全員揃っていることが珍しい。

「馬車の用意ができました。」

百合咲の声がドアの近くでした。
それに、風座間が頷く。

「生徒は今、授業の真っ最中だ。
生徒に囲まれないうちに、準備しなさい。」

扇達は頷き、失礼しました と部屋から出てそれぞれ馬車に乗った。

「あれ、グリムズちゃんたちは?」

神無月は楓と薬がいないことに気付き、扇に問う。

「先に向かわせるようにしたよ……学院生じゃないしね。」

扇は苦笑いをする。