「失礼、リオウさんを貴方にはお渡しできなくなりました。
ご了承くださいな。」
朧月が割って入って来たのだ。
そのことに父と母は驚く。
「どういうことだ!朧月!この子は私の娘だぞ!」
「残念ながら、リオウさんはそれを望んでいません。
我々、グリムズは時と場合によって来る者を拒みません。
それに、貴方はお忘れかも知れませんが
私は本当は朧月ではありません。
クウト・コガラシ です。貴方にとって初の処刑人ですよ。」
「なっ……」
リオウの父はその名前を聞いた瞬間、固まってしまった。
死んだはずの人物がここの管理人をしているのだから。
「クウト……だが、処刑したはず」
「残念ながら、生きています。
当時の管理人が助けてくれました。
……昔の名前は捨てました……改めて、
グリムズの監獄管理班 最高責任者 凩 朧月 です。」
朧月は優雅に一礼する。
だが、敬意は全くなく、冷たい視線を父にぶつける。
「それでは……これで最後になります。
ここの監獄との出入口は閉ざされます。
さようなら……アーリア氏」
「朧月!貴様ーー!」
父の伸ばした手は虚空へと消えた。
転移魔法が発動したのだろう。
「さて、これでいなくなりました……一応聞きます。
あなたはグリムズに来ますか?」
先ほどの冷たい視線はなくなり、穏やかな視線に戻る。
「はい!私はこの力が世にあまり知られないよう、裏でこの世界を守りたいです。」
リオウは強い意思を持った声音で言った。
朧月は そうですか と言い歩き出した。
「……どこに行くのですか?」
リオウは朧月のあとをついていく。
朧月は そうですねー とはぐらかすのかと思っていると急に足を止める。
「おっと…」
朧月にぶつかりそうになり、慌てて止まる。
そして、朧月はリオウを見て言った。
「グリムズへ行くのです。」
朧月の後ろにいたヒトヤとリオウはいつの間にか魔法陣の上にいた。
「……リオウも行くんだな」
ヒトヤは少し微笑んでいるような優しい表情をしていた。
「……うん!」
リオウは頷いた瞬間、転移した。
グリムズがどんな場所か気になって少しドキドキしていた。
(どんなところだろー!)



