才華龍学院 Ⅰ


それから、1ヶ月たったある日。

暑いなかアーリア家のリオウ、リオウの父、母、双子の妹は次元監獄に来ていた。

「これより、ヒトヤ・アルデールの処刑を執行いたします。」

朧月は、アーリア一家を処刑場に案内し、そう言った。

すると、ヒトヤがこちらを睨みながら現れた。

処刑のやり方は首吊り。
家1つ分の高さはあり、そこには輪を先端に上に伸びる1本の縄。

ヒトヤはその縄へと階段を上がっていく。

(本物のヒトヤじゃないね。)
(そりゃそうだろう……あれは、ヒトヤの魔力で作ったダミーだな。)

リオウは心の中で雷神と会話をする。

ヒトヤの首に縄を締める。
もう、あと少しで吊るされる。

それだけで、いやになるリオウ。
誰にも見られない後ろで服の裾を ギュッ と掴む。

「処刑執行」

朧月は短く言った。
すると、床が抜けヒトヤは落ちると同時に縄が ピン と張る。

「あっ……うっ…く」

首が締まり、息ができなくなっていく。

いかにも苦しい表情をするヒトヤだが、数分後に手が垂れ下がりピクリとも動かなくなった。

「……ようやく、終わったな。
リオウ、リアナ、リオナ、これが処刑というものだ。

この監獄から犯罪者が出られないよう守ってくれよ。」

父は冷たい声音で冷静に言う。
リオウは頷き、リアナとリオナは涙目ではあったが強く頷いた。

それから、一家は屋敷に戻るため異次元空間の出口に向かう。

「……リアナ、リオナ後は頼んだよ。」

リオウがそう言うとリアナとリオナは はい。 と静かに言った。

リオウはこの前日にグリムズへ行くことを2人に話した。

当然、最初は驚いていた。
だが、 姉上がそうしたいのなら と受け入れてくれた。

異次元空間の出口についたところでリオウは動いた。

転移する前の時間にリオウはその魔法陣から降りた。

「リオウ、何をしている。」
「……父上、母上…私はこの諸国を離れます。」

リオウの口から出た言葉に驚く父と母。

「何を言いだすのだ!はやく入りなさい。」
「そうですよ。」

聞く耳も立てない父と母にリオウは事実を言った。

「……ヒトヤ・アルデールは無罪です。
ヒトヤは町を守るために町を異空間に飛ばしたのです。

そして、罪をでっち上げたのはこの国です。
父上も母上もご存知ですよね。」

リオウの言葉に父と母は驚き、慌てたようすで なんのことだか とはぐらかす。

「私は、この国を信じられません。」
「だからと言って、諸国を抜けた後はどうする。
お前のような子供は何もできん。」

父は はぁ とため息をつく。

「行く先なら、決めています……」

父と母の目をまっすぐ見て言った。

「グリムズに行きます。」

これには、朧月も隠れているヒトヤも驚いていた。

「なん……だと……!」

流石の父も言葉を失う。グリムズはそれだけ有名なのだ。

「なぜ、わざわざ犯罪者の組織に行くのだ。

ああ、ここにつれてくるのではなかった。
やはり、強大すぎる力は使い方を誤る。」

なんてことだ と父と母はあきれる。

「……それでも、表で無罪の人を殺すよりも裏で罪人を殺すほうがましだよ。」

リオウは呟くように言った。

「頭を冷やせリオウ。妹の前でなんと言うことを言うのだ!帰ったらお仕置きだ!」

父は まったく と怒っている様子でリオウの手を掴もうとしたが、それはできなかった。