才華龍学院 Ⅰ


「ヒトヤが僕以外の人に話しかけるなんて驚きました。」

朧月はリオウとヒトヤのやり取りを聞いてクスクス笑っている。

「…………なぜか、リオウはいい気がした。」

ヒトヤは朧月を睨みながらもその声音は優しかった。

「そうですか。
知ってますか?あの子は世界では鬼才と呼ばれています。
. . . .
昔は天才でしたけど、成長するとともに鬼才と呼ばれるようになりました。

あの子は、私とヒトヤの前では無邪気に笑っていますがお父上の前では静かに笑います。

あの子はあの子なりに苦しんでいるのでしょう」

朧月はニコニコと笑い、事務室へと帰っていった。

(鬼才……ね。人から人ではなくなる。

天才から鬼才になったところで人ではなくなる。
誰もが恐れる怪物になる。

リオウは友達がいなのか……)

ヒトヤは納得ぎみに思考する。
昔の自分と一緒だな…と。

「……リオウ・アーリア……か」

ヒトヤはリオウがいつも座っている場所をボーと見ていた。

「鬼の子と鬼才の子ね……うわー、最強そう」

ヒトヤは クスッ と笑った。

翌日、リオウは来なかった。
朧月の話では親に監獄に来ていることがばれてしまったらしい。

ヒトヤは誰にも言わずに来ていたことに驚き、リオウならあり得るかと納得もした。

次の日

「リオウがここに来ていることは知っていたのか?」

リオウとリオウの父が来た。
もちろん、リオウの父はカンカンだ。

「はい。監獄の案内を。」

朧月は慌てることなく言った。
その異様なほどの落ち着きにヒトヤは恐怖を覚える。

「なぜ、それを私に言わなかった!」
「いえ、アーリア氏はご存知だったのかと」

朧月の言葉に父はさらに攻める。

「なぜ、そう思った。」
「アーリア氏がリオウさんをここにお連れになったので、監獄の守り役を継がれるためかと思いまして。」

朧月は困った様子でアーリア氏に言う。
ヒトヤやリオウからすると演技にしか見えない。

「……そのつもりだ。つまり、その役目の勉強をしていた…と言うことかね?」

父はどこか納得した感じであった。
朧月は はい と頷く。

「…フム……そうなのか?リオウ」
「はっ……はい!今は何処の牢屋にどんな囚人がいるのかを教えてもらってます。」
「ほう……」

リオウも朧月の嘘に乗っている様子を眺めるヒトヤ。

「では、この辺りには何がいる?」

父はリオウに試すように言う。
リオウは えっ と慌てた様子だったが、朧月が 落ち着いて と声をかける。

リオウは はい と深呼吸をした。

「えっと、ここが事務室で、事務室の近くは危険X~Bの囚人の牢屋になっています。

この階の1つ上が危険Aと要注意。
下の階が注意と一般です。」

と、答える。ヒトヤはいつの間に… と驚く。

「ほう……全て覚えてるか!流石我が娘。
どうやら、本当に教えているようだな。」

リオウはほっとし、朧月は ニコッ と笑う(営業スマイルな感じ)

「あの、父上……私は父上のように監獄を犯罪者から守りたいのです。

世に危険がないためにも。

だから、お願します。」

リオウは頭を下げてお願いする。
父は フム と腕を組み考え、許可をだした。 

「いいだろう。娘は真剣みたいだしな。
頼んだぞ 朧月。」

父は、リオウに負けて朧月に託した。
朧月は はい と一礼する。

「私はこれから、アークハル島の領主との会議がある。

リオウを頼むぞ。」

「かしこまりました。」

朧月はまた、一礼した。
父は頷いて、転移魔方陣の方へと向かう。

朧月はリオウに小声で 行っておいで といい、父の側に行く。

リオウは、小さな声ではしゃいでこちらに向かって来た。