~鬼の子・鬼才の子~

「陰と陽の仕事ってなにするんだ?」

堺人は誰もいなくなった部屋で、燐に問いかけた。

「……堺人ならいっかな…」

燐は堺人を ジー と見ながら小声でいった。

「前にグリムズには3つの組織的なものがあるって言ったよね?」
「ああ、確か 情報収集班、暗殺処理班、通信伝達班……だっけ?」

堺人は顎に手をあてて、考える。

「そう。私とアーミャは暗殺処理班だったのも分かるね?」

堺人が頷くのを確認した燐はまた口を開く。

「陰と陽は情報収集班に所属しているの。
陰の人を寄せ付けない魔法は普通に歩いていても誰にも気づかれないから、潜入するときは便利なんだ」

それを聞いて なるほど と納得する。
つまり、陰と陽は情報収集のために潜入しに行ったのだろう。

「最低でも2、3日は戻ってこないかな。
それまでに、私達は回復しないとだね」

燐は苦笑まじりに言う。

「そうだな……と言ってもほぼ回復してるけど」

堺人も苦笑する。
燐と堺人は神級の魔法と契約武器は使えないが、最上級までの魔法と契約武器は使える。

「そういえば、扇さんすごい興奮してたけどどうしたの?」

楓と薬が報告に来た後の扇はウキウキで跳び跳ねていた。

「あー、私が所属してる部隊はね…グリムズではよく犯罪グループや国家の偵察隊との戦闘が多くてね、

まず1番最初に出撃するのが私達の部隊。」

「最前線の部隊ってことか」

燐が1度話をきると堺人は内容を整理していく。

「そう、部隊のメンバーは
私、アーミャ、陰、陽、楓、薬、
それと夕凪さん、亡くなった周さん

隊長の師匠 あともう1人が副隊長の獄さん

師匠と獄さんは恋人同士なの。」

そこで、堺人は納得した。そりゃそうだ と。

「なるほど。扇さんの彼氏さんね」

クスクス笑う堺人にいつも無表情の燐も笑う。

「獄さんは私の師匠の1人。
監獄の監視を1人で行っていて、他の所に移動しまくりでなかなか会えないんだって」

堺人の頭の中では、あれだけはしゃぐ扇がますます納得されていく。

「そうなんだよねぇー。鬼の子って言われる位だし。」
「……!!」

燐と堺人しかいないはずの部屋で、突然扇の声が聞こえ2人は声にならない驚きで振り替える。

「……師匠どうしたんですか?」

燐はため息をつく。

「ひーくんからの伝言を持ってきたよ」

扇は近くにあった椅子に座る。
どうやら、先程まで獄と連絡を取り合っていたらしい。

((自分で連絡できるなら、夕凪さんに頼まなくても良かった気がする…))

燐と堺人はそんなことを思いつつも口には出さなかった。