才華龍学院 Ⅰ


「扇さんの変化がすごいよね。」

陽は小声でクスクス笑っていると陰が頷く。
どうやら聞こえていたらしい。

「今日はこれで解散。あっ陽!薬に堺人くんの薬をお願いしてー」
「了解です!」

扇は まかせたよ と言い部屋を出ていった。

それに付いていくように凪も部屋から出る。

「さてさて、僕たちは仕事に行くかな」
「……うん……」

陰と陽は腕を伸ばす。
これから、暗闇での仕事だ。

「グリムズの中で1番しゃべりやすいよな」

カインはガシッと陽と肩を組む。
それは、堺人、紅葉、柳も同じであった。

「まぁ、僕達は皆より荷が軽いというか……」

陽は苦笑いをする。
陰と陽は共にグリムズ生まれであり、燐やアーミャのように生まれ変わりのような者でもない。

「私たちは申し子……蝶…アーミャのように使命があるわけでもない。」

陰は静かな声で言った。

「ましてや、燐のように呪いとかを背負っているわけでも楓や薬のように孤児でもない。

僕達は軽いからかな、一番恵まれてると思うよ。」

それに陽が付け足すように言う。

楓はこの国でのことで悩んでいる。
アーミャはカインの巫女の使命がある。
(アーミャはその使命を嫌ってはいない)
燐はダーインスレイヴという呪いの刀をその身に背負っている。

そう考えると、陰と陽が一番楽なのかもしれない。

「それだけじゃないでしょ?陽は元々話しやすいし、私たちをまとめてくれる。」

燐は暗くなっている陽に向かって言葉を送る。

「陰も、敵に見つからないよう人を寄せ付けない魔法で行動をスムーズにしてくれる。」

アーミャは燐に続いて陰に言葉を送る。
そう、燐やアーミャたちからすると要であり2人がいない班は微妙に合わない。

「ハハ。そういってくれると嬉しいよ!」

陽は ニカッ と笑う。
その笑顔は光のオーラが本当に出ていそうでまぶしい。

陰も微かに微笑み、陽の言葉に頷く。

そして、しばらく堺人やカイン、紅葉、柳と会話を弾ませる。

午後8時を時計の針が指したのを確認した陰は陽の服をちょんちょんと引っ張る。

「どうしたの?」
「8時…仕事!」

陰は時計を指しながら言った。
陽は もうそんな時間か と時計を見る。

「それじゃあ僕らは仕事に行くよ!
また、明日話そうね!」

まだ話したいと言う気持ちを抑えてなごり惜しそうにする陽。

「おう!また明日な!」

カインはニカッと笑う。どうやら陽と話が合うようだ。

陽は微笑んで楓と同じバイザーをつける。
陰はすでにつけており、簡易転移魔法の準備を終えていた。

普通の転移魔法よりも簡単にできる魔法だ。

「行っちゃったね。」

堺人が呟くとその場にいた全員が頷く。