才華龍学院 Ⅰ

 ~申し子~


「燐!堺人!よかったー!もう目覚めなかったらどうしようかと思った~」

アーミャは冗談まじりの声で燐に抱きつく。

「私、1回起きたんだけど…まぁ、ごめんね、ありがとう。」

燐は珍しく苦笑しながらアーミャから離れる。
そのいつもの光景を見て、皆笑う。

「それで、どうしたの?」

早く話せと顔が言っている。

「……堺人の首筋に…」

燐は言いにくそうに堺人の首筋を見る。
つられて、扇も首筋を見るや目を細める。

「……ああ。ダーインスレイヴの呪いにやられたかな。

カーシャ国の血があってよかったよ。
もし、堺人くんがカーシャ国の血がなかったら今頃、呪いにやられて死んでたね~」

 それを笑顔でいう扇が呪いのアザよりも怖い。

皆、ひいていた。

「あっ……はい」

堺人もひいている。なんとか出した声は裏返っていた。

「これを、解くには獄さんじゃないと……」
「確かに。獄なら直せるね。楓に通信で頼んでみる。」
「ありがとうございます!」

燐は一安心する。

「それまでは、薬が調合した薬を飲ませればなんとかなるでしょー」

扇のときとうそうな言葉に不安になる堺人たちであった。

「そういえば、その2人は?」

堺人は楓と薬がいないことに気付き、アーミャに聞く。

「あーちょっとね。」
「どうやら、嫌われてしまったみたいで。」

アーミャがいいずらそうにしていると、後ろにいた楓が口を挟んだ。

「ああ、楓は紅葉の双子の姉。
だけど楓は忌子って言われて焼き死ぬ垂涎で助けられた子供。」

簡潔に燐が話す。
やはり、双子であることに驚く堺人。

「あっだからか」

そして、カインと同じ反応を見せる。
丁度その時、楓と薬が入ってきた。

「はぁ…はぁ……」

全力で走ったのだろう息がすこし切れている。
だが、すぐに整えて扇に声をかける。

「通達。緊急ですが、獄副隊長がこちらに向かっているそうです。」

薬は姿勢を整える。
獄(ひとや) の言葉が出てくると扇の顔が明るくなる。

「ほんと!ひーくん来るの!」

扇は子供のように跳び跳ねる。
その様は皆が凍りつくぐらい……

「久しぶりに会えるー!やったー!」

舞い上がっている扇に楓の 後もう1つ という言葉が聞こえて我にかえる。

「アルバス帝国にある開門を閉じる。
これにより、E-5864の出入りは申請書の提出、R-1111の出入りのできる者だけにする。以上」

訳もわからないことで頭が回る堺人たち。
それに頷いた扇はこう言った。

「了解。丁度いいじゃない!
ここにいる全員R-1111は通れるね!

楓、すぐに書ける?」

「はいっ! では、明日までに仕上げます。」

楓は直立し返事をする。
扇は頷き、よろしくね と言うと楓と薬は去っていった。

「ひーくんに会えるのは嬉しいけど流石にここまでくるのは大変だよね……」
「クスッ 扇さん、私も通信伝達班ですよ?」

凪の言葉に そうだった! と扇は思いだし、E-5864に来るように頼むのだった。