~忌み子~


「きたようじゃな」

転移魔法が学院長の屋敷の庭に光り輝く。
それは、人が10人以上入りそうなほど拡大しそこから粒子が人の形へと変わる。

「……!着いたみたいね。」

扇は目を開き回りを見る。
学院長である風座真は、全員の無事を確認し、気絶した堺人と燐をベットに運ぶようメイドたちに言った。

「どうやら、無事だったようじゃのう」
「はい。風座真様のお陰です。ありがとうございます。」

扇は代表して、頭を下げる。
それに習うように蜘夜、レイン、神無月も頭を下げる。

「さて、そちらは君の部下かね?」

風座間が扇の右斜めにいる陰達を見る。
それに気づいた陰達は膝をつく。

「はい。陰、陽、楓、薬…そして燐とアーミャ以上
この4名がお伝えした通り私の部下であり、
今回のグリムズが協力するメンバーです。」

「隊長…」
「なに?」

すると、楓が口を開いた。

「通達です」
「なんて?」

「この作戦にあと3人加わる。
 期限は1年。
 コードネームなし。
 同時にグリムズ脱退を許可……以上。」

楓は淡々と言う。
感情は一切ない…いや、いらない。

「……だそうです。」

扇は呆れた顔をしながら風座真を見る。
風座真が フム と頷く。

「その3人は?」
「……それは今は言えません。直接会うが条件の3人なので…」

申し訳なさそうに言う扇に納得し、風座真はそれ以上何も言わなかった。

「さぁ、入りなさい。先に風呂に入った方がいいじゃろう」

風座真はメイドに命令して、中に入っていく。
その後に扇、蜘夜、レイン、神無月ついていった。

「入浴場までお連れします。」

メイドの1人が他のメンバーを案内する。


「ここが入浴場です。右が女性、左が男性になっております。
なにかご用があればお呼びください。」

入浴場に案内され、用事を済ませたメイドたちはさっさと去った。

「ひっ広いなぁ~」

服を脱いで中に入ると、湯気がたちのぼる広いお風呂が待っていた。

グリムズ育ちの陽と薬は驚いていた。

「そうか?」

カインは首を傾げた。
それは、柳も同じであった。

「俺のとこはまだ2倍くらいあるな。」
「俺は里に1つ温泉があったが…」

その話を聞くや、陽は すごいっ! と目を光らせる。