「今、そっちに行くから!」

堺人は手で膜を握り、破こうとする。
もちろん、そんなことをすると闇のオーラは堺人を襲う。

「……っ!!」

闇のオーラに飲み込まれたが、そんなことどうでもいい。

堺人は黒い霧がかかったように目の前がいいように見えいし、膜から離そうと黒い突風が襲う。

闇のオーラはどんどん堺人の意識を奪って行く。
それでも膜を破ることはやめない。

パリン と膜が破れた。
堺人の手は擦り傷だらけだ。

膜の中は時が止まったようにシーンとしていた。
闇のオーラも膜の中には入ってこない。

「燐!燐!分かるか?」

堺人は燐の肩を揺さぶる。
燐は堺人の声に反応してこちらを振り向いた。

しかし、瞳はやはり生気を失ったままだ。

「さぁ、みんなのところに帰ろ?
アーミャもカインも紅葉も柳も待ってるよ。

それに、グリムズの人たちも燐が帰ってくるのを待ってるよ!

それなのに、燐は帰らないの?」

必死に声をかける。
それが伝わったのか燐の瞳はだんだんと生気が戻っていく。

「か…え……る。あれ?…か…いと?」

片言な言葉で燐は意識を取り戻した。

「燐!よかった。」

堺人は燐のキョトンとした表情を見て、安心し燐に抱きつく。

「ぅえ!!か…堺人!」

急に抱きつかれ燐は慌てる。
安心したようで堺人は気を失っていた。

「……ありがとう。か…いと」

燐も気を失い、そのまま横に倒れる。

「オーラが薄れた!今だよ!」

アーミャは、闇のオーラの変化に気付き、一気に封印に取りかかる。

そして、封印はすんなりと終わった。

闇のオーラが消えると、中から抱きしめた状態で倒れている燐と堺人の姿が現れた。

「まったく…もう。」

アーミャは安心するや、足がガクッとなって倒れる。
それをキャッチしたカインは優しい微笑みをこぼす。

「これで、ひとまず安心ですね。」

楓は フゥ と息を吐く。

「おつかれ、封印ご苦労様。さて学院に帰るよ。」

その間に扇は学院長と通信を取り、学院の生徒にはばれないようにするため、学院長の住まいに転移するようお願いしていた。

それにOKがだされ、レインと神無月が転移魔法の準備をしていた。

「ええ顔で寝とるやないかぁ。可愛ええなぁ」

蜘夜は燐の頬をツンツンとつつく。

そして、転移魔法の準備が終わり、学院長の屋敷(月島家の別荘)へととんだ。