「堺人…!危ないよ!」

こちらに向かってくる堺人に気づいたアーミャは声を上げるが堺人は歩みを止めない。

「大丈夫な気がする。」
「はぁ!何言ってるの!」

堺人の何も根拠もないことを言うため、アーミャ達は驚く。

「ちょっ!どうするき?」

堺人は陽の近くまで来ていた。
それに気づいた陽は堺人に問う。

「燐のところまで行く。」

堺人は迷いなくはっきりとした口調で返した。

「えっ!……本気?」

陰は汗をかきながら言う。
陰だけでなく陽や楓も汗が垂れる。

封印を維持するのは難しいことで、そう長くは続かない。

「本気。燐をこっち(意識を)に戻せばいいんでしょ?」

堺人は闇のオーラの中にいる燐の方へと向かう。
それは当然、闇のオーラは歯向かってくる。

「力を貸して氷王弓…

千月矢…分裂の一射 (ぶんれつのいっしゃ)」

堺人は千月矢を1本、燐に向けて射る。
すると、矢が通った場所だけ闇のオーラは無くなり1つの道となる。

すると、堺人はその道を走る。

「本当に行ったね。楓…どう思う?」

薬は近くにいた楓に聞く。
もちろん、封印魔法は発動中だ。

「……いいのではないのですか?」

楓はぶっきらぼうに言うため、薬は クスッ と笑う。

「なんか、冷たいね。今日の楓は。」

そういうと楓は プイッ とそっぽを向く。

そんな中、堺人は燐のもとまで着いたらしい。

まだ、燐の回りに灰色の膜がはられていた。

「これは……っ!!」

触れた瞬間手に軽い擦り傷ができる。
中に入れることを拒んでいるのだろう。

「燐!僕だよ!堺人だ!……燐!いるんだろう?」

声をかけると、微動だにしない燐が微かに反応した。

瞳は生気を失い、口は半開きになっている。