「月島 堺人……あの月島家の子ねぇ」
ダーインスレイヴは堺人をまじまじと見る。
燐と同じ顔であるダーインスレイヴは制服と髪、眼の色を変えれば燐そのものになる。
「殺……燐のことはどこまで知ってるのかしら?」
ダーインスレイヴは突然質問する。
「えっ……えーと…グリムズの脱走者、コードネームと鈴鐘家の血をひいていること…くらいかな」
堺人はこれまでの記憶をたどって答える。
「そう……私が禁魔級のことは?」
「さっき、扇さんから聞きました。」
堺人は即答するがどこかで恐れているのか顔がこわばっている。
「よね。じゃあ私と燐の話をしてあげるわ。」
突然ダーインスレイヴが語りだした。
「鈴鐘の巫とその子供はお腹のなかにいるときに契約武器と契約をする……」
~・~・~・~
13年前のこと。
「……これは闇属性……」
茶髪の紫色の瞳をした
燐の父……鈴鐘 淳志 (あつし) は生まれてきた子供を見て驚いた。
鈴鐘家の血を引く巫は生まれたときから契約武器をもつ。
そして、今いる子供も巫となるだろうと思われていた。
だが、その子供は巫にとって敵と言える闇属性だった……
闇属性の魔物を光属性をもつ巫が倒す なんてことが普通だ。
「契約武器はダーインスレイヴね」
「ダーインスレイヴだって!!」
黒髪に水色の瞳をした
燐の母…鈴鐘 優 (ゆう) は優しく赤ちゃんをだく。
優はグリムズにある神社…鈴鐘神社の巫であり、極めて優秀な巫である。
昔は神童とも言われていた。
グリムズにいるため、人は殺したことがある。
それは清き神に使える巫であるため人を殺すというのはどうかと思うが……
グリムズでの仕事を引退した優は鈴鐘神社で巫をし、子供たちにコードネームの要である一文字を与える仕事をしている。
「この子の名前は燐……コードネームは殺…」
優の契約武器…天名(てんめい)は光でも闇でもある武器。
新たな命、魔法……様々な物(者)に名を与える
又は
その物(者)の名前が分かれば操ることができる。
それは人を殺すこともできる。(条件付き)
この由縁から天名は禁級とされており、持つものはそういない。
名前を燐、コードネームを殺 と名付けたのも天名だ。