「さて、どうしたものか」

レインは困った顔で腕を組む。

今は洞窟の中にいる。

「……ここからは私が指示してもいいかな?」

扇は蜘夜、レイン、神無月を見る。
3人は頷いたため扇は話し出した。

「燐……サウザンドリィリの森全体を確認して」

燐は頷いて変形の双可を召喚した。

「聞聴、写視……(もんちょう、しゃし)」

燐は眼をつむり、静かな声で言った。

聞聴、写視は変形の双可の能力を使い、ある範囲を双可と神経を繋げ見渡しまた聞くことができる。

2本の剣は光となって消えた。

「魔力を感知……人間9人、魔獣多数
           . . . . . . .
 聴視クリア……7人はカイア、アルス他 
            .
        残り2人は外。」

【説明:カイア、アルス他…はグリムズの住人を表し、外はグリムズに関係しない者のこと】

「場所は?」
「7人は森の少し外れ、2人は魔獣と共に魔法陣付近にいます。」

扇の問いに次々と答えていく。
中にはわからない言葉がいくつかあるが敵がいる確率が高かった。

「……そうね、2人と魔獣重視で監視。」
「了解。」

燐は頷いた。それを確認して扇は堺人たちを見た。

「これから始まるのは試合なんかじゃない。命に関わる戦い。
人を殺すことになるかもしれない。
魔獣は殺したことはあると思うけど……」

扇は真剣な顔で言った。どうやら敵がいると確信したようだ。

「分かっています。」

堺人たちの考えを代表してレインが答えた。

覚悟はできている と、

「そう。よかった。燐は?もちそう?」

そこで皆、燐の異変に気がついた。
燐は少し青ざめていた。

「……なんとか、でも聴視両方はちょっときついです……」
「……よね。今日は体調が優れないだろうし……聴はいいよ。口を見れば話はわかるし」

扇が言うと燐は頷いて聴視の聴の魔法を解く。
すると可鈴(剣)が現れた。

「あ、あと今日は燐には近づかないでね。絶対。」

扇は脅すように低い声で言うとグリムズメンバー以外は背筋が ゾクッ ときた。