『それでは、転移をおこないますので魔法陣の上に集まってください。』

実況者の声で堺人たちは魔法陣の上に行く。

『それでは、転移します!』

魔法陣が光ると同時に燐は魔法陣から離れた。

「燐!」

それに気づいた堺人が叫ぶと他のメンバーも燐を見る。

そこで、光がまして眼を瞑る。

「……えっ、」

光がおさまり眼を開けると驚いた。
転移したはずの堺人たちがまだいるのだ。

「あれ……転移してない?」

アーミャは辺りを見て首を傾げた。

「…通信機も繋がりません。」

レインは通信機で学院側と連絡をとろうとするが砂嵐の音しかしない。

「これは、ちょっとやばいね。」

扇は困った顔をする。
学院に帰れないのはもちろんだが今日は新月……燐のダーインスレイヴ解放の日だ。

「それより、なんで魔法陣から降りたの?」

堺人は真剣な顔で燐に問う。

「それは……」

燐は言葉を濁らせて、眼をそらす。

燐のことを知っているのはこの場ではアーミャと扇と夕凪だけだ。

「それより、一旦ここから離れた方がいいね。」

気間づい空気の中、言葉を発したのは扇だった。

「魔獣がここに集まってきてる。」

扇はあらかじめ感知用トラップを仕掛けていた。

「そうですね。魔獣と戦うのは避けた方がいいです。」

レインは肯定して燐たちが使っていた洞窟へ向かった。