才華龍学院 Ⅰ


その日の夜

『久しぶりね……殺』

燐は1人見張りのために木に腰をおろして周りを見ていると後ろから声がした。

声の高さからして女性である。

「久しぶり、ダーイン」

燐は振り向きもせずに答えた。

ダーインと呼ばれた女性は クスッ と笑う。

『成長したわね。髪は短くなったかしら』
「そう?大分前に切ったけど」

燐も クスッ と笑いダーインがいる方向を見た。

燐と同じ顔をしているが背は少し高く、髪は紫色。
そして、深紅の目は鋭く燐を見ている。

ダーインスレイヴ……これが彼女の名だ。
燐は愛称でダーインと呼んでいる。

そして、ダーインスレイヴは燐の契約武器。

だがダーインスレイヴを扱えるのは燐ただ1人。
長きに渡り契約に成功したものはいない武器の1つ。

階級は禁魔級(きんまきゅう)。
神級よりもさらに上の級だ。

そして、この世で最強の武器 又は 最強の呪い刀 と呼ばれている。

つまり、ダーインスレイヴより強い武器はないと言うことだ。

変形の双可も禁級だが、ダーインスレイヴはそれよりも危険で禍々しい闇のオーラをまとっている。

『分かっているわね?殺。明日は新月よ。新月は鈴鐘家にとって能力解放の日なのだから』

ダーインスレイヴはその口でハッキリといった。

「分かってる。だから私だけこの森に1日いることにした。」

燐は目を1回閉じてまた開きダーインスレイヴを見た。

『……そう。それは良かったわ。もうあんなことしたくないもの。』

ダーインスレイヴは悲しい目をしてうつむいた。
過去にあったことを思い出しているのだろう。

「私もだよ。ダーインは気にせず魔獣でも狩るといいよ。」

燐はいつもより優しい声で言った。

『ええ。そうするわ。じゃあね、おやすみなさい』

ダーインスレイヴは安心したように姿を消した。

燐はそれを見届けてまた、見張りに戻った。

新月まであと、1日。