その日の夜、燐たちは洞窟の前にいた。
「サバイバルとか初めてだな。」
焚き火を囲うように座っている燐たちは今は夕食中。
そんな中、堺人がふいに言った。
「ああ。俺もだ。そもそも、野宿すること事態初めてだ。」
カインも頷く。
野宿をしたことのない者は、堺人、カイン、紅葉、柳だった。
「紅葉や柳はありそうなのに~」
アーミャはニヤニヤしながら紅葉と柳の方を見る。
「今日が初めてですよ。夜の仕事はありましたが野宿のような仕事ではありませんでしたし。」
紅葉は苦笑いで言った。それに柳は頷く。
「じゃあ、野宿をしたことがあるのは私とアーミャだけなんだ。」
堺人たちの話を聞いた燐はそう呟いた。
「やっぱり、2人はあるんだな。」
堺人は苦笑しながら燐を見ていた。
「うん、あるよ。嫌というほどやってきた。だからこの魔法を作ったのだけどね」
そこで、紅葉と柳は納得したようで、なるほど と呟いたのが聞こえた。
「どこが1番野宿に苦労しましたか?」
紅葉は興味深々で言った。
それを聞いた燐とアーミャは迷うことなく2人同時に言った。
「「ロスデロリクト自然界(かな~)」」
そこで、堺人とカイン、紅葉と柳は動きを止めた。
「ロスデロリクト!!!あっあそこって絶対立ち入り禁止区域じゃ!」
カインが大声で言った。
ロスデロリクト自然界とは、世界最大の自然界であり魔獣の危険度もサウザンドリィリの森とは比べられないほど高い。
森、林、樹海、火山、海、湖……様々な自然が集まった場所であり、光国とクーイ国の間にあると言われているが、
カインが言った通り、絶対立ち入り禁止区域である。
王族でも立ち入ることは絶対にできない。
「まー……ね。」
「……………………」
アーミャは歯切れが悪く、燐は黙っていた。
((グリムズが所有しているとは絶対に言えない。))
燐とアーミャはそんなことを思っていた。